太陽と目標 診療放射線技師のキャリア開発の目標は,個々の診療放射線技師が質の高い放射線技術を継続的に提供できるように知識,技術,姿勢を身に着けることである.組織においての診療放射線技師の教育による質の向上は,患者に提供する放射線技術の質の向上につながる.そして,組織が個人の能力以上の質を保つためには,個人の価値観や目的と組織の目的,価値を統合する管理的戦略が必要となる.そして戦略的な人材育成計画立案のプロセスとしてまず,病院の理念,目標や方針から放射線部の理念,目標,方針が定まり,そこから目指すべき人材の理想像が決定される.次に現在の人材の姿と理想像を比較することによって,必要とする教育プログラムが導かれ,継続的に人材を育成することができる.

 診療放射線技師のキャリア開発とは,個々の診療放射線技師が社会のニーズや各個人の能力および生活に応じてキャリアをデザインし,自己の責任でその目標達成に必要な能力の向上に取り組むことである.また,一定の組織の中でキャリアを発達させようとする場合は,その組織の目標を踏まえたキャリアデザインとなり,組織はその取り組みを支援するものであることが望ましい.キャリアデザインする上で大切なことは,診療放射線技師に何が求められているのか,社会との関連から診療放射線技師の役割そのものが変化するという側面を認識することが重要である.そして,組織における効果的なキャリア開発のために,組織は一人ひとりに対してキャリアカウンセリングを実施し,個々のキャリアニーズを把握し,各々のキャリア発達のニーズと組織のキャリア開発のニーズがうまく統合する仕組みが重要である.具体的には,組織はどのような診療放射線技師を育成したいか,その資源はどの位あるのか明示する.個人は自分自身のキャリア計画をどのように考え,どうありたいのかを明確に伝える必要がある.組織は個人の生物・社会学的ライフサイクル,キャリアサイクル,家族のサイクルを前提にキャリア開発を考える.個人は上記の3つのサイクルを十分に意識したうえで自らのキャリアをデザインすることが望ましい.そして,クリニカルラダーや目標管理シートを用いて目標設定や評価を行い,継続的にキャリア開発を支援することで,病院全体の目標が達成でき,スタッフも成長することが可能となる.

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